自己管理力

 人間とは、人と人の間と書くように、人と人との関わりの中で生き、その中で喜怒哀楽や、幸不幸を感じて生きているものです。

 人と人、つまり相手があって生きているところに人生の難しさがあるのです。お釈迦さまがこの世を娑婆、つまり辛いことをじっと耐え忍んで生きなくてはならない「忍土」と言われたのはそのためです。そんな厳しい世の中を、どう生きれば苦しみを少なくし、自分も相手も幸せに生きることができるか、そのために説かれた教えが仏教なのです。

 その一つが自己管理力です。自己管理力とは、自分で自分を管理する力のこと。人間は感情の動物といわれるように、だれでも感情をもっています。誉められると嬉しいし、叱られると腹がたちます。しかし感情は自分だけでなく、相手の人にもあるのです。それを忘れて自分の感情をそのまま外にだして、人に不快感や嫌悪感を与えた時、その人との関係はギクシャクしてしまいます。自分の感情をいかにセーブし、コントロールするか、それが人と人の世の中を、楽しく幸せに生きるための智慧だとお釈迦さまは説かれたのです。

 日蓮聖人が最も信頼したご信者さんの四条金吾さん。日蓮聖人と共に死のうとしたほどの強信の方。だが四条さんはとても短気でおこりん坊。そして感情を顔や態度にすぐ表してしまう方。そのために上司や同僚に疎まれます。そんな四条さんを日蓮聖人は、どんなに信仰熱心でも、怒りの感情を抑えられないようでは駄目と、徹底して諌められました。

 カーッとなるとプッツンし、すぐにキレてしまう人の多い現代。自分の感情を抑えられないために、自分の感情を抑えられないために、自分も他人も不幸にしてしまう愚か者です。自他共に幸せに生きるためには、自己管理力は不可欠なこと。お題目を唱える信仰とは、実はそんな自己管理力を高めるための自己啓発法なのです。

(平成18年9月16〜30日 テレホン説教)

 

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