はた楽

 その人間を知ろうと思ったら、何でもいいから仕事をさせてみなさい。仕事をさせると、その人の見えない心や考え、そして能力がよく見える、といった方がいます。

 三十八年間続けている小・中学生を対象にした「海辺のつどい」。その開ね設のための準備会を、毎年つどいの前に行います。OBの高校生や大学生、社会人などが集まり、事務的なものから会場の設営などに取り組む彼らの仕事ぶりを見ていると、前述の言葉が実によく分かります。

言われたことを、言われたことだけやる、まさに指示待ちな人。言われるとイヤイヤ、しかもあれがない、これがないと文句や苦情や注文ばかり多く、かえって回りの人を忙しくする人。仕事の前後が読めず、準備も後かたずけもきちんとできない人。

 体や口は一人前でも、やはり高校生や大学生はまだまだ子供です。その点、さすがに社会人は、仕事の手順も要領もよく、仕事の仕上がりも丁寧。そして、一つの仕事を頼まれると、その先の先まで読み、頼まれないのにちゃあんとやっておいてくれます。職場で鍛えられていることがよく分かります。

 働くとは、その言葉通り「はたの人を楽にする」ことなのです。ですから働くとは、自分が楽をするためでも、回りの人に迷惑をかけることでもありません。まして、仕事だからといって、威張ったり、怒ったりして、回りの人の顰蹙を買うなど、もっての外です。それは「はた楽」ではなく「はた迷惑」というものです。

 寒い冬の朝、織田信長の草履を懐で温めて出したという秀吉。そこまでする必要が?という人もいますが、草履を履く信長という「はた」の「楽」を考えた秀吉の行為は、やはり只者ではない凄い人物だったのです。「はた楽」な仕事をしましょう。

(平成18年11月16〜30日 テレホン説教)

 

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